第3章 メインローターに関するセクション1402 Helicopter Main Rotor Section
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1402,0 | Main Rotor Position Right/Left COG |
Default Value | 0 |
ローターの位置に関する変数があるのは当然ですね。セクション1403のテイルローターに関するセクションにも同様の変数があります。ちなみに MS フライトシミュレーターシリーズでは、正の値が右、負の値が左というルールがあり、Bell 206B に関しても同様です。 |
1402,8 | Main Rotor Position Fore/Aft COG |
Default Value | -4.00 |
この変数の値を変化させても体感できるほどの変化は起こらないようです。 |
1402,16 | Main Rotor Position Above/Below COG |
Default Value | 57.60 |
この変数はロール特性に影響を及ぼします。負の値にすると右ロール状態になり、クラッシュします。 |
1402,24 | Main Rotor Thrust Vector Right/Left |
Default Value | -0.0174500(FS98:-0.02181700) |
回転が中立状態にあるときの、推力の方向(左右)です。負の大きな数値(たとえば-0.51745)とすると、左方向にダッチロールを起こしました。ダッチロールが収まり、巡航に移ったあとでも巡航速度が半分程度に低下しました。正の数値はまったく逆の効果が起こります。MS は FS98 から FS2000 にアップグレードする際に、この変数と、次の Main Roter Thrust Vector Fore/Aft のみを変更しています。 |
1402,32 | Main Rotor Thrust Vector Fore/Aft |
Default Value | -0.0174500(FS98:-0.0872700) |
回転が中立状態にあるときの、推力の方向(前後)です。負の大きな値とするとピッチダウン状態になります。-0.571745に設定すると、巡航状態で機首下げ状態になり、ニュートラルな姿勢に戻してやると標準状態よりも約30kts速度が向上しました。正の値にするとピッチが元に戻ります。 |
1402,40 | Main Rotor Blade Length (ft. each) |
Default Value | 16.625 |
Bell 社の資料によれば Bell 206B-3 のローターブレード全長は 33.3 フィートです。標準設定の値は公式資料のほぼ半分に相当しますので、ブレード1枚分に相当します。この変数の値を大きくするとタービンシャフトのトルクが増大し、アンチトルクローターの効果が小さくなります。セクション1403にテイルローターに関する同様の設定がありますので参照してください。 |
1402,48 | Main Rotor Blade Chord (ft.) |
Default Value | 1.08 |
Bell 社の資料によるとローターブレードの弦長は1.1フィートですので、ほぼ一致します。この変数の値を0.08に変更すると、計器の指し示すトルクには変化がないのですが、離陸できなくなります。ブレードの幅が小さくなったことによると思われます。セクション1403にテイルローターに関する同様の設定がありますので参照してください。 |
1402,56 | Number of Rotor Blades |
Default Value | 2.00 |
この変数の意味するところは明らかでしょう。ただ、この変数はセクションの最初に現れないものですから、探り当てるのが大変でした。 ためしにこの数値を3にしてみたところ、機体は非常にすばやくハンドリングが容易になりました。ちなみに0に設定するとエンジンがシャットダウンします。 |
1402,64 | Unknown Dimension |
Default Value | 267.75 |
どうやらなんらかの寸法をモデリングしているようですが、はっきりとわかりません。メインローターのアスペクトレシオを半径の2乗として計算すると276.39となり誓いのですが、十分とはいえないと思います。 ためしにこの値を0にしてみたところ、駐機状態でいきなりクラッシュ(下に押さえつけられ、左にロールしました)し、エンジンがシャットダウンしました。次に1に設定してみたところ、離陸はできたのですが、ローターの回転数が一定せず、メインローターの寸法が小さすぎる傾向が見られました。 |
1402,72 | Main Rotor Effectiveness #1 |
Default Value | 0.75 |
この変数の値を大きくするとローターの効率が向上し、同時に左へのトルクが増大します。そのため、アンチトルクペダルで補償ができなくなってしまいます。負の数値を設定すると下方向への推力を発生することになるので、機体を地面に押し付けるように働きます。
別の実験で、この変数の値と次のMain Rotor Effectiveness #2 を1.0と2.75に変更してみました。変更間には70%トルクで90ktsで巡航したのですが、変更後は揚力が増加し、速度が120+ktsまで向上しました。この状態で50%トルクまで出力を落とすと90ktsに回復しました。 続いてこの変数の値を0.5に減少し、Main Rotor Effectiveness #2 を2.75にしたところ、トルク70%で速度が約30kts低下し、トルク90%で変更前の90ktsまで回復しました。 さらに、この変数の値を0.5のまま、Main Rotor Effectiveness #2 を3.5にしたところ変更前と同じ70%トルクで90kts巡航するようになりました。 この2つの変数はおそらく、それぞれ低ピッチ時と高ピッチ時を受け持っているのだと予想しているのですが、定かではありません。そんなわけで、"effectiveness" というあいまいな変数名にしてあります。トルクゲージを見る限り、この変数はトルクに影響は及ぼさないようです。 |
1402,80 | Main Rotor Effectiveness #2 |
Default Value | 2.50 |
この変数に関しては1つ前の解説を参照してください。この変数の値を大きくすると(たとえば55)跳ね上がるように離陸し、"carnival ride" 状態になります。負の数値を設定すると、機体を下に押し付けるような推力が発生します。 |
1402,88 | Main Rotor Drag Coefficient |
Default Value | 0.009 |
この変数の値を大きくすると(たとえば0.200程度)エンジンがストップして二度と始動しなくなります。 |
1402,96 | Main Rotor Friction |
Default Value | 0.0413 |
この変数値を変更すると、エンジンをシャットダウンするのにかかる時間が長くなったり、短くなったりします。どうやらローターシャフトがエンジンに対して持っている摩擦係数のようです。 |
1402,104 | Rotor Circle Surface Area |
Default Value | 868.31 |
ローターの回転面(ローターの先端が描く円のことです)はヘリコプターの
"主翼"
として考えることができます。ローターブレードの半径(Bell
206B であれば16.625フィート)の2乗に円周率πをかけて求まります。3.141592x(165.625)2=868.3067...となり、標準設定の868.31に十分近いものとなっています。おそらく間違いはないでしょう。
MS フライトシミュレーターシリーズにおいて、主役はあくまで固定翼機です。ヘリコプターは "ゲスト" のように扱われていますので、この変数はおそらく、固定翼機で言うところのセクション1204に相当するものと思われます。 |
1402,112 | Unknown |
Default Value | 15.11 |
何らかの寸法をモデリングしている変数だと思いますが、詳細は不明です。55、95、-95と変化させて見ましたが、体感できるような変化はありませんでした。しかしながら、0に設定すると機体は右にロールしながら2600ktsのスピードで37000ftまで吹き飛んでいきました!再び1.0に戻すと普通に戻りました。おそらく、何らかの寸法をあらわしているものともいます。 |
1402,120 | N2 Inertia (turbine) |
Default Value | 41.36 |
この値を非常に大きくすると、タービンが超高速回転するようになります。値を小さくするとエンジンの性能が低下します。 |