プロペラ後流に関するセクション

Original text written by S. M. Baugh
Translated and edited by Daikie

INTRODUCTION

FS98/CFS の*.airファイルのセクション1101には、これまでその内容が不明であった4つの変数が設定されています。この4つの変数は地上での機体の取りまわし(特にステアリング機能のないテイルドラッガーでは顕著)、旋回率そして旋回時の速度損失に直接影響を与えます。それでは、これまでに私が調べた、知る限りの情報を紹介します。当然ながら私はすべてを知っているわけではございませんので、もし新たに発見された情報をお持ちであればぜひ教えてください(私のメールアドレスは一番下に載っています)。 これから紹介するセクション1101の設定値は FS98/CFS 標準のプロペラ機にのみ有効な設定で、リアジェット、B-737 そしてグライダーといった機体では単純な0の羅列になっています。このセクションはプロペラの特性をモデリングしているものだからです。 なお、FS98 コンバーターを使用して変換したカスタム機体では、このセクションにはコンバーターによるディフォルト値が設定されてしまうので、機体のタイプ、重量、プロペラサイズによらず、すべて同じ数値になります。 

THE NEW VARIABLES

今回紹介する4変数は以下のとおりです。

変数名

 名称

 オフセット位置

Var1

 Prop Effect on Elevator

offset: 154-160 [9A-A0 hex]

Var2

 Elevator Response

offset: 162-168 [A2-A8 hex]

Var3

 Prop Effect on Rudder

offset: 212-218 [D4-DA hex]

Var4

 Rudder Response

offset: 220-226 [DC-E2 hex]

以降、変数名の番号で説明を進めていきます。Var1であればセクション1101、オフセット154-160のことです。AirED または FDE を使ってこの変数を編集する場合には、適宜コントロールファイルに上記の設定を追加してください。AirED であればデータタイプに "double" を設定してください。FDE であれば fdectrl.txt のセクション1101に以下の行を追加してください。

1101,154, Prop Effect on Elevator,Float8,1
1101,162, Elevator Response (props),Float8,1
1101,212, Prop Effect on Rudder,Float8,1
1101,220, Rudder Response (props),Float8,1

OBSERVATIONS

Var1:Prop Effect on Elevator

Var1 には負の値を設定する必要があります。この変数は、スロットルが開いている状態において、エレベーターが機体ピッチに及ぼす影響をコントロールしています。スロットルが開いていれば開いているほどエレベーターの効きがよくなるようになり、同時に失速も早くなります。当然、スロットルが絞られているほどエレベーターの効きは悪くなります。この変数はエレベーターの表面を流れるプロペラ後流をシミュレートするもののようです(ちなみにVar3はラダーへのプロペラ後流の影響をシミュレートしているようです)。スロットルが開いた状態で、エレベーターを大きく操作すると、失速がより早く発生するようになります。スロットルが開いている状態でのエレベーターの効き具合に影響を与えますから、飛行中だけでなく離陸時にスロットルが全開になっているような場合にも有効です。FS98/CFS 標準機では0.04096から-0.8が設定されていて、FS98 コンバーターを使用してコンバートされた機体では0となっています。

Var2:Elevator Response

Var2 には負の数値を設定する必要があります。大きな負の数値はエレベーターの効き具合を低下させます。この変数もプロペラ機にしか存在しない変数で、Var1とセットで取り扱われているものと思われます。具体的な効果のほどはこれから多くのテストフライトが必要かと思いますが、まずは FS98/CFS 標準機体の設定値から眺めてみましょう。FS98/CFSでは0(セスナのみ)から-12.0で、通常-5.0です。FS98 コンバーターによる機体は0となっています。興味深いのは、Extra やソッピースキャメル、P51d までもが同じ設定値となっている点です。セスナ182 は上記の通り0となっており、ドイツ機は非常に小さな値になっています。

Var3:Prop Effect on Rudder

Var3 には小さな正の値を設定する必要があります。Var3はラダーに関するVar1と思っていただければよく、ラダーに与えるプロペラ後流の影響をモデリングしているものと思われます。Var3の値が大きくなると、スロットルが開いている時のヨーの効きが強くなります。たとえ速度が同じでもスロットルが絞られているときはヨーの効きは弱くなります。明らかに、ラダーを "叩く" プロペラ後流をシミュレートしています。1次大戦中の戦闘機の典型的飛行特性を反映して、標準機体の中ではソッピースキャメルの設定値が最も大きくなっており、キャメルのラダーが離陸時に良く効く原因となっています。FS98 コンバーターによる機体では標準で0.035となっており、ごく標準的な地上での取りまわし特性となっています。FS98/CFS 標準機体の設定値は0.002048から0.1024です。

Var4:Rudder Response

Var4 には負の数値を設定する必要があります。この変数はラダーについてのVar2と思って抱ければよく、Var3とセットになって取り扱われます。FS/CFS 標準機体の設定値は-5.0から-16.0でほとんどの場合-5.0、CFS 標準の P47 と Bf109 のみ、ディフォルト値の-5.0よりも大きな値となっています。FS98 コンバーターによる機体では-30.0と非常に大きな数値となっています。

皆様からのフィードバックをお待ちしています。

S. M. Baugh, Ph.D.
smbaugh@adnc.com

プロペラ後流に関するセクション
翻訳第1版 1999/11/25

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